私自身がお囃子を習ったのが10歳の時でした。個人差はあるものの、小学校3年~小学校6年つまり年齢なら9歳~12歳くらいの子が最後まで脱落せずに残っていたと思います。

ですので、私は自分の子が10歳になったお囃子を教えようと思っていました。その子は今年33歳になりますからお囃子教室は23年続けてきたことになります。

 

23年の間、途中お休みしようかな?の迷った時が2度あります 1度目は私の勤務していた学校が甲子園に出場した時です。この時は末広町の公会堂をお借りしてお囃子教室を開催していたのですが、毎晩勤務先の学校からスーツ姿のまま末広町の公会堂に直行というハードな日々でした。幸いなことに甲子園は2回戦で負けてしまったので何とか事なきを得ましたが、勝ち進んでいたら臨時休講となっていたかもしれません。これが20年くらい前の話です。

 あと1度は今年の夏です。御存知の通り新型ウィルスの影響で危うくお囃子教室が開講できないところでした。囃子会の皆さんのご理解とご協力を得ながら、また篠笛はオンライン授業を行うなど最大限の工夫をしながら何とか開講することができました。

 

 多くの方から「議員になったらお囃子教室は辞めると思った」と言われましたが、私としては全く辞めるつもりはありませんでしたしそれは今後も同じです。ただ、突如臨時休講にせざるを得ない状況が発生するかもしれない事を経験しましたので、10年前にYouTubeで台囃子を教える番組を作りました。いまでもその番組はonodanetと検索すれば見ることができます。まさか10年後の社会でこのようなYouTubeでの授業が普通に行われるようになるとは想像しておりませんでした。再生回数は最多のものでも10年回で3000回程度と全く話にならない番組ですが、目的はお囃子教室を補完するものなので全く問題はありません。ご興味がございましたらご覧になってください。

 

 さて、私はお囃子教室を辞めないと書きましたが、正しくは「辞められない」なのです。それは、私自身がお囃子を習った時の経験に由来しております。私が参加したお囃子教室では最初に参加した人数は1516名だったのに最後には3人しか残っておらずそれがとても嫌でした。もし、自分がお囃子教室を主宰するとしたらなるべく脱落者は出したくないと考えていました。

 

そこで考え出したのがコース制の導入です。具体的には初級・中級・上級の3つのコースにわけて基本的には毎年1コース3年で小太鼓を習得しますが、必要とあれば毎年3つのコースで学ぶことも可能としました。このコース制は教わる方としてはレベルに応じて何度でも学習できるというメリットがありますが、もし私がお囃子教室を中断した場合初級しから習っていない子などが発生してしまいます。それはとても無責任なことなので辞めるに辞められないのです。

 

最後に、お囃子教室では授業料を受け取っておりません。それはお囃子というものが単なる音楽では無くこの町の文化であり、文化を守り育てるのは住民の責務だと私は考えるからです。ただ、会の活動にはお金が必要ですので「花代」という形でお祭りや行事の時に心づけをいただいております。この「花代」が頂けなくなったらそれはお囃子というものがこの町にいらないという意思表示であり「花代」をいただけるような活動を積極的に行わなければならないという動機付けになると私は考えております。

 

 幸いなことに、台囃子会の財政状況は潤沢とは言えないまでも、普通に活動ができる状態ではあるようなので、今後もお囃子教室をはじめ様々な活動を続けてゆきたいと私は思っております。

 

文:小野田康成